六ツ角研究室(ムツラボ)

ムツカドあたりから流れる音楽のごときニュアンスを

L=÷

所属営業スタッフのパブリック携帯が、はれてiPhoneに変わった日
不意討ちに携帯の通信が終幕、予告より1日前倒しでiPhoneが開通したものですから皆さまの右往左往ぶりがなかなかに微笑ましくてねぇ、と思ったのもつかの間
わずかにiPhoneユーザー歴の長い僕が皆の質問を一手に引き受けることになったのだね

一段落して静けさ漂う夜半の事務所、O氏のパスワード設定が何故かうまくいかずになんと二時間強寄り添い、つまりはiTunesiPhoneの連携なんかについてPC画面とO氏の吐息が感じられるくらいの距離感でマンツーマンレッスンなわけです。
自分だったらこうする的な教えは通じず、そうすると違う言葉を解凍しさらに温めて放つことになる。
ああ“教える”は“教わる”だなと、なんとも充足感に満ちた月曜日。

新作の撮影中に事故で亡くなったギリシャの映画監督“テオ・アンゲロプロス”について、池澤夏樹が追悼文を寄せていた(1#30日経新聞)
池澤氏はアンゲロプロス作品の字幕翻訳の仕事をしており、詩的な作品の字幕を作ることの難しさと悦びを語っている
その文脈の中で、そのギリシャ語を日本語に置き換える作業は、「まるで短歌か俳句を作るような言語的アクロバット」だと表現している。
なるほど“伝える”は“伝わる”だ。池澤氏にそのまま深い解釈が返ってくるような作業なのだろう
さらに映画の一場面を引用して“問いかける”がそのまま“問われる”ことに繋がる描写がある。

返ってくるのが銃弾でも返ってこないよりはまだ良いのだと言わんばかりに、その作業ができなくなることを作家は悲しんでいた。