六ツ角研究室(ムツラボ)

ムツカドあたりから流れる音楽のごときニュアンスを

月のあかり

少し前に、ほぼ日の企画で、糸井さんと一風堂の河原さんの“ラーメン対談”があった。その中にラーメンを語りながら“ライブ”を語る文脈がある。
http://www.1101.com/president/kawahara/2012-05-10.html
あのラーメン屋行こうぜっていって、食べる。
情報じゃなくて、ちゃんとラーメンを体験してもらえる店を作りたいんです。
ちゃんと、お客さんの中であそこの店のラーメンが食べたいって決まってるんです。
「なるほど、こんな味か、わかった」っていう
ラーメンの情報を仕入れるだけじゃなくて、
あの店のおばさんの接客を見に行くとか、
この店のおっさんが相変わらずダサくておもしろいとか。
で、ラーメン食べて、あぁうまかったって帰る。
そういう店を作りたいんです。
この対談を読んで感じたことは、その言葉通りの“ライブ体験”について。
個人的に今年の一月から四月までに行ったライブが
石橋凌

岡村靖幸

畠山美由紀

山木康世

そして

「桑名正博」

こうして並べると渋すぎる!

ラーメンと同じように音楽も今や“情報”になったこの時代。
彼らに共通して在るのは、“情報”を突き抜けてる“強烈”な“唯一無二”のライブ体験だった。

桑名正博のしびれる名曲を生で、久々に聴いたのが今年4/13“ドラムロゴス”でした。
出向いた40周年記念ライブ。テーブルありの着席型でお酒を飲みながらのバースタイル。大人の時間。

長い旅になりそうだし、さよならとは違うし
この街から出てゆくだけだよ(月のあかり)

静かに柔らかく切なく響くしらべ「月のあかり」。歌の力と空気が凄かった。
しみじみと思い出すように
安岡力也(4#8に死去)さん、原田芳雄さん、ジョー山中さんのことなどを寂しそうに語りつつ
「生きてるうちが花なんだぜ」と唄で叫ぶのでした。

歌ってるかい
踊ってるかい
笑ってるかい
泣いてるかい
怒ってるかい
悩んでるかい
愛してるかい
悲しんでるかい
生きてるうちが花なんだぜ
生きてるうちが花なんだぜ 花なんだぜ

先日、脳幹出血で倒れた桑名さん
「もう手術や積極的な治療はできない」と言われながら、多くの人が日々彼の状況に耳をすませて、“奇蹟”を信じている。
今年は歌手デビュー40周年で全国100回の記念ライブ中。
息子の美勇士が言う

「声は聞こえてる。心臓だけ、スピリットだけで生きてます」。
FacebookにInoriProjectが立ち上がった。
http://www.facebook.com/inoriproject

過去に、ロックミュージシャン、Frankie Milleもそんな闇の中から戻ってきた
http://www.kanshin.com/keyword/137695

前例もある、奇蹟とかじゃなく、役割な気がするのだ。どうなるかなど誰にも分からないが
復活はぜひスウィートホーム大阪で、よろしくお願いいたします。

桑名さんと誕生日同じなんですよねわたくし。
桑名さんは40周年、で、わたくしは今年40歳になります。
美勇士は言ったそうだ

「眠ってるようで、『あぁ、よく寝た』と起きてきそう」。

強烈なライブ体験を、強烈な人生を提示する桑名正博さんのしわがれた声で“月のあかり”をまた聴きたい。