六ツ角研究室(ムツラボ)

ムツカドあたりから流れる音楽のごときニュアンスを

見立てろ

ちょっと長いぞ、月末なのに。失礼、途中で切り上げもいいよ、少し先の自分。


先日

なにも大掛かりに手をかけずとも

面白いことはすぐあなたの目の前にある

Kさんはそれを見つける天才と書いたヤツ。

http://d.hatena.ne.jp/yanaichi2/20140128

そのK氏をヤフオクドームで取材した、ちょっとした記事がUPされました。

「加藤隆生の挑戦とは?」

「リアル脱出ゲーム」という新しい遊びについて

それを生み出した加藤さんは、自分なりに思いを巡らせながら
言葉をえらびながら発言してくれ

その言葉はたいへん実に興味深くて

ああ、これは、この人は(おおげさに言うなら)

“創造主の喜びと苦悩”と戯れていらっしゃるぞと。

僕、個人的にも「リアル脱出ゲーム」が
福岡初上陸(九州初上陸でもある)した、2011年の8月開催

博多百年蔵での「人狼村からの脱出」に参加して

なんて不思議な面白さなんだと感動したひとり。

「人間の脳みそって凄いぞ」

「この刺激は異質だな」

「これはどう展開していくんだろう」と

次の謎を心待ちにして

参加して、お手伝いして

鹿児島にも同行して

少し特別な角度で、展開を見てきたわけです。


その時から、まだ2年半も経っていないのだけど


当初から考えると“10倍以上の規模”で、目の前で

ドーム球場で、あの不思議な遊びが展開されようとしている

それは感慨深いし、大きな大きなうねりを感じていて

ドキドキしているのだけれど

仕掛け人の面々は

大きいことはひとつの選択肢でしかないことを分かっていて
(そういうところがとても好ましい)

ドーム球場の謎を仕掛けながら

10人限定の、常設型の小屋「アジトオブスクラップ博多」

冷泉公園近くの、リノベーションアパートで

粛々と運営まで始めてしまったのだ。


「演劇」ジャンルを長いこと見てきた僕から言わせると

この「アジトオブスクラップ博多」

従来と全く違う世界から現れた

芝居小屋で、常設劇場であり、

福岡のマーケットでは信じられない
ロングランシステムを体現している、とてつもない空間である。

それを、軽々とやってのけてしまう
(裏ではいろんなものと戦いながら)

この人たちを眩しく見ている。


さて、加藤氏の話のなかで特に興味深いのが

脱出率は10%以下にもかかわらず
新作の謎を求めて挑戦する参加者が後を絶たない不思議のくだり

「何度も参加すると、お客さんの謎解き力が上がるし

ひらめきや発想が高まることもありますよね

情報の集め方や、役割分担も上手くなる。

もっと具体的に言うと『メモの取り方が上手になる』

『着て行く服装や、履いていく靴が変わったり』

『意外とかわいい子がいるから、ちょっと髪の毛を切ってから行こう』とか(笑)。

お客さん自身の日常が変化、成長するんです」。


これが“リアル”であることの特徴、ゲームとは違う特徴。


そうそう

謎を集めるとき「携帯で写真を撮る」という行動

これ、別に制限されてないんですよね。

試験の会場じゃなくて「リアル脱出ゲーム」の世界だし

ただ、「携帯で写真を撮る」という行為に関しての説明はどこにもされていない

いいとも悪いとも書かれていない。

あまり説明されてない、そこがこの人たちのセンスだと思う。


それは、その時は分からなくても、やりながら分かってくる

そういうのも含めて、現実は変化していく

その人なりの変化は、勝手に展開していき、誰にもコントロールできない。

現実とはそういうものだ。


京都から始まったSCRAPは

この「リアル脱出ゲーム」を海外でも実施しているが

その反応や、脱出率や、初開催の国や地域での集客に、さほど大きな差はないという。

ただし、加藤氏が言うには


日本人は「見立てる力」が半端なく発達している稀有な民族なのだと。

「ここは人狼村です」「高層ビルの最上階に閉じこめられました」的な世界観を

なんの躊躇もなく、すんなりフィットさせることで

この世界に主人公になれる。

なにしろ昔から「枯山水」や「茶の湯」という文化で

壮大な宇宙的空間を、見出すことのできるのが日本人なのだ。


見立てましょう、もっと僕らはあらゆるものを。





1#31

猛烈に追い込む

2月はもっと忙しく、美しく、飄々と。