異形の世界
11月になると、大相撲九州場所のため福岡の街には力士の姿が見られる。
慣れてしまうものだが、やはり力士は異形、あのあまりに巨大な肉体と鬢つけ油の薫りがバスの中や商店街なんかの日常に入り込む刺激はドキドキで
そういう異形を許容するのが世界であり、そういうのが無くなるとつまらなくなる。
さて
我が所属する事務所でもついにインフルエンザの患者が出た。
小さい事務所だけに、集団感染などは許されない。
恐ろしい緊張感に包まれたマスクマン、マスクウーマンなスタッフたち。
数日前から少し咳込んでいたのだが、タイミングの悪いことにインフルエンザが発覚したのは僕の席のお隣りのT嬢。
いや、俺の咳はただの風邪だからと、無言の弁解。
見えない恐怖、ウィルスという情報が社会を揺るがす。
異形の力士が踏む四股は、かつて「醜(しこ)
」と書いたらしい。
力士の力で、地に住む邪気を追い払うという意味が込められていたのだそうだ。
今でも裸で闘い、神社に寄宿する異形な存在は、確かにウィルスを踏みしめてくれそうだ。
「醜」みたいな存在を形骸化させると、ホントに醜悪なものを防げなくなる気がする。
だから大相撲はもっとベタに庶民寄りで見世物であるべきで