六ツ角研究室(ムツラボ)

ムツカドあたりから流れる音楽のごときニュアンスを

トライアル読書会

土曜日、18時からT氏企画の“おひとりさま読書会”第一回が催されたのだ。場所は“書斎りーぶる”という名前の書店の中に設けられたカフェスペース。
自意識過剰な僕ですから参加するのに気恥ずかしさを隠せず、やれやれとか言いながら参加。
自分の役割はファシリテーター(司会進行+α)で、課題本は「陽だまりの彼女」。
恋愛小説であり、ファンタジーであり、ややどんでん返しな物語。
男女あわせて14人以上も集まっていただき、予想に反して皆さんが盛り上げてくれて実に充実した時間になりました。
(やれやれとか思ってた自分こそが恥ずかしいね!)
二次会はその場でケータリングの食事とかビールとワイン、さすがにみなさん大人でガンガン飲む、りーぶる読書会、飲みながら絵本談義、こういうの楽しいな。「スーホの白い馬」とか「スイミー」とか。宮崎駿とか

三次会は斬新な“絵本”飲み会@親不孝通りにて。「わたしはあかねこ」の朗読をつまみに飲む妙齢男女、愉しい夜になりました。

さてさて読書会、いろんなことをやってきましたが、最初に僕が考えるイメージを書いたエントリーが見つかったのでこの機会に初心に戻ってコピペ。(わりとまじめに描いております、だいたいイメージ通りに事は進んでますね)

http://www.reading-circle.com/archives/column/post_3.html

「読書会」というは形態は、これからもっとポピュラーになるだろうし、今後おそらく出版社にとっても、重要な場になると思われます。
実際にやってみて、お手軽なのに強力なインパクトを与えてくれるコンセプトなんですよね「読書会」。

一人で黙々と読んでいた「本」が突然、立体的になって「生もの」になる。
「本」という共通フォーマットがあるから、それ以外の「場」のスタイルはいくらでも変化させることができる。
一冊の本を媒介として、人の多様な生き方が交錯する。これが醍醐味。
そんな「読書会」の面白さを上手く表したのが
ジェイン・オースティンの読書会(The Jane Austen Book Club)』ですね。
原著が2004年に発刊され、日本語訳は2006年2月に白水社から刊行されてます。
2007年に映画化、日本でも2008年に公開されたので記憶に新しいところ。

福岡で「読書会」を始めたのが2008年の4月からでしたから、タイムリーだったのですね。
映画見るなり「おお、これこれこれっ!この面白さ!」って思いましたもの。
ジェイン・オースティン・・・』の読書会のスタイルは、ひとりの妙齢女性の提案から始まります。縁あって集められた女性5人と男性1人の計6人。
この縁のつながり方も読書会の醍醐味です。
読書会のサイクルはだいたい月1回、メンバーそれぞれの家でワインや美味しい食事を味わいながら、ホームパーティ的に進行します。
オースティンの6つの長編作品を、1作品づつ、毎回ファシリテーターを決めて実施。半年で完結。
唯一の男性参加者が、全くオースティン作品に興味がないSFマニアだった・・・というところにもリアリティがあるんです。オースティンが好きで、SFなど見向きもしない女性と、その対極の男性。そこに接点があると「幅」が広がるんです。立体的になるんです、互いの人生が。
誰にでもありそうなこの様子が面白いですね。
本の面白さにも出会ってしまうし、そこにいる人の面白さにも出会ってしまう。うーむ、凄い。
映画は、読書会をテーマに、参加者の群像劇で構成されています。
実際に自分達が読書会をやる際に、今日の参加者の、読書会以前と読書会以後の生活を俯瞰で映画的に眺めると
ジェイン・オースティンの読書会(The Jane Austen Book Club)』プレイができてしまうのです。これは楽しいっ!(すいません、勝手に妄想して・・・)
「読書会」に興味のある方は、ぜひ小説かDVDをチェックされたし。

さて、現在開催している福岡での「読書会」のシチューエーションについて書いておきましょう。

キャッチ:モノローグからダイアローグへ

開催:月1回 毎月下旬  
テーマ本:毎月開催日程を決める際に決定、募集の際に発表
ルール:テーマ本しっかり読んでから来ること
参加費:会場費、食事代割り勘
毎度10名前後の参加者で、1〜2名の初参加の方がいます。
女性は2〜3人くらい毎回います。うまく新陳代謝している感じ。
終了後は行ける方で懇親会。
年末の「特別バージョン」では、「今年の1冊!発表会!!」と題して開催。
それぞれにプレゼン本+プレゼント本の2冊を持ち寄るというスタイルで実施。予想以上に盛り上がるものです。

繰り返しになりますが
「本」という共通フォーマットがあるから、それ以外の「場」のスタイルはいくらでも変化させることができる。
これが、僕の思う面白さのポイントです。
皆さんはどんなスタイルで実施していらっしゃるのでしょう。「読書会」というスタイルは『ジェイン・オースティン・・・』みたいに、ホームパーティー文化の延長線で定着するのではなく、日本では、やはりガラパゴス的進化を見せるのでしょうかね。それはそれで興味深い。
「婚活読書会」とか、「合コン読書会」とか、「立ち飲み読書会」とか
「読書会ビュッフェ」とか、コミュニケーションのスタイルへ派生する可能性もあるし
「読書会向け」のサービスもできるでしょう。ピザ屋の「読書会割引」とか「読書会専用デリバリメニュー」とか、「読書会向けBGM」とか・・・。
いずれにしても、細分化していろんなジャンルに派生してかなり面白いことになっていくだろうなと思わせてくれます。

また、そこに著者がリアルに登場するのは不思議でもなんでもない。
著者自身が主宰する「読書会」も珍しい存在ではなくなる。
それから、本屋という専門店が「読書会」というスタイルと連携して、ワクワクするショーケース的な提案をしてくれる
・・・・というのが、僕が思い描くこの先の展開です。そうなったら楽しいですね。

音楽産業でいうところの、アーティストとCDと、コンサートと夏フェスとCDショップとCDメーカー
のこの10年くらいの関係と変化をなんとなく思い浮かべながらこのコラムを書いています。
最後に、「読書会」というキーワードでググりますとこのサイト「読書と読書会、そしてその周辺」がトップ、、2番目には「ジェイン・オースティンの読書会 - オフィシャルサイト」3番目に「白水社 : 読書会ノススメ」がきます。
まだまだ変化しそうでしょ?ね、読書会って!