六ツ角研究室(ムツラボ)

ムツカドあたりから流れる音楽のごときニュアンスを

世界の秘密と田中

(1/30に、1/23のことを書いている。1週間経ったが面白い芝居の余韻がまだ残っている。)

この日は北九州芸術劇場へ、ラッパ屋の舞台を見に行ったのだ。
毎年見てるけど、ラッパ屋の世界観って、生活の近くにあるちっちゃくて見過ごしがちな感覚を、笑いと共に掬いあげてくれる。
今だかつてハズレたことがないラッパ屋の舞台。
今回の新作、タイトルが『世界の秘密と田中』である。
壷を覗き込むサラリーマンふう男性のイラストがキュートで、芝居見る前も、見てる最中も、見た後もそれぞれにポップな気分にさせてくれた。
ラッパ屋お得意のワンシチュエーション、人の出入りで場面が展開する。
正確には、同じアパートの同じ間取りの家具付きの各部屋が舞台。
人の出入りで部屋の転換が成される絶妙。
主人公の田中英介は、こんなはずじゃなかったと人生に息詰まる40歳(くらい)。
マンネリ気味の恋人ともしっくりこない。個性的なマンションの住人達は皆それぞれに問題を抱えながらも楽しそうな様子。
日々同じくして、マンションの上の階に、まるで世界の秘密の扉を開いてくれるような不思議な蘊蓄をたれる男性・玉村さんと出合ったことで何かが少しずつ動き出す

脚本・演出の鈴木聡さんは広告クリエーターとしても才能が煌めきまくっていたが(ホンダのインテグラとか、「こどもといっしょにどこいこう?」とか数々の作品あり)
ラッパ屋で生み出された作品は、ますます切れ味鋭く目線は優しくなっている。
笑って笑って、その笑いの先にあるホロリ感がたまらないんだよね。

戯曲集出たら絶対買いたい新作でした。

帰りのJRで余韻をじわっと味わいながら、シロヤのパンも味わう。