六ツ角研究室(ムツラボ)

ムツカドあたりから流れる音楽のごときニュアンスを

ザ・タウン

キャナルシティのユナイテッドシネマの会員になると、映画が1500円で見られる。
見るたびにポイントがつく、会員ページには見た映画がきちんと記録されている、あら去年はたくさん見たね、と振り返って、今年は去年の倍くらい見ようとか思うわけです。
4ポイントで一本無料、最近では2ポイント貯まると1000円で見られるようになった。
そうしてこのシネコンに気持ちよく囲いこまれる自分。

見た映画のこととか、舞台のことを日記に記録しておきたい、と思っても日々流してしまいがち。
思いたって残される記録に意味はないが、タイミングと意思が噛み合ってしまうから後々読み返して楽しい。

「ザ・タウン」を見た。
ベン・アフレックが監督、脚本、主演と大活躍する作品。
惚れ惚れするのだ、渋いのだベン、女優もおちるわあの匂いたつ色気。
なんと同い年、しかも同じ8月生まれと知って勝手に親近感を抱いている。欠片でも男前を盗みたい。

映画の中で彼らが生きる「タウン」は、犯罪が脈々と受け継がれている街。
それがデフォルトだから、彼らにはそこから「逃げる」というすべがない。
ベン演じる主人公は知能と行動力に優れた犯罪者、「銀行襲撃」で結びついた女性との縁が物語を動かす。
仲間とも父や母の残像を切ることができないが、出逢った女性に未来を見たくなる、彼の中で何かが動き始めたのだ。

ミクロな話しだが、自分の通った中学とその時代は、なかなかのダークな三年間で、例えば普通に接している同級生が闇社会の住人の息子さんだったりするから、意思薄弱なティーンはそこの常識に引っ張られる。
イヤだイヤだと思っても、小さな街の人間関係がその中学生には世界の全て。縦と横に張り巡らされる糸から逃げられない。
小さな世界の暴力と悪意と小さな喜び、いや卑屈とサッカー部。
高校で、ポンと違うレイヤーに乗っただけで、あの嫌な空気からは逃れ、大学で街を離れて、世界の広さを知る、自分と、物語の中のベン・アフレックを並走させられる。
男臭い、ヒリヒリする映画だった。