六ツ角研究室(ムツラボ)

ムツカドあたりから流れる音楽のごときニュアンスを

明日の機能

ソフトバンクの、おとうさん(犬)が毎朝アラームで起こしてくれるのです。あの野太い声で“おはようございます”と。今朝に限っては「土砂用ございます」に聞こえたうつつ、コンクリートに埋められる夢を見た。

バージョンアップの感覚。
1#18、ショップの閉店時間駆け込みで、ようやくiPhoneを3GS→4Sへと移行させた。
よくよく考えたら、持ち帰った3GSは魂(3G回線の通信機能)が無くなっただけで、つまりはiPodtouchと同じように使えるんだな(当たり前だけど)。
残された3GS上にも、読んでない電子ブックは山ほど残ってるし、大辞林類語辞典や、普段使いするアプリも当然きちんと機能する。
携帯の機種変と違って、役目を終えたがちゃんと生きてる感じがして愛らしいぜ3GSったら。

新しい分身に身を譲ったマイ3GS上で、唯一有料のゲームアプリがある。
“TheTower”だ。
大ヒットした「シーマン」の作者としても知られる斎藤由多加氏の初期代表作。
リクルート社出身の異色のクリエーター斎藤氏の、物事を見つめる視線はいつも刺激に満ちている。
この人の視線にかかると、世界は面白いことに満ちている。
古い本だけど彼の著作“ハンバーガーを待つ3分間の値段”は我がバイブルとして昨日の自分から明日の自分へと読み次がれている。
昨年末の読書会イベント“忘年読書会”では、参加者各事一冊“プレゼント本”を持ち寄ったのだが
僕が用意したのは
『林檎の樹の下で』。
ジョブスの追悼書籍ラッシュにおいて、いくつも関連本が登場したが、個人的に一番面白かったのがこれ。
ジョブスは登場するが主役ではない、チョイ役だ。
1970年代のアップルコンピューターが日本に進出するにあたってのドラマ。驚くべきことに日本の最初の代理店は、繊維メーカー「東レ」なんだよね。
いわば大企業の新規事業としてMacを日本で販売しようとするのだけど、いろいろ問題がおこる。
創業者であるジョブスの思惑なんかもチョイ役ながら見え隠れ。
三谷幸喜が舞台化すると相当面白くなると思うエピソード満載。
1996年に発行され、今回二回目の復刊だったこの本の著者が“斎藤由多加”であることに注目されたし。
ものごとは“横”と“縦”に拡げて、あるいは掘り下げてみると、思わぬ発見がある。
僕がこの本を大好きなのは“横”つまり日本と外国の比較、繊維とコンピューターの比較、もろもろのギャップによる面白さ
さらに“縦”歴史として掘り下げた際の現在から過去のアップルを知り、明日のアップルを想像することができる読み物である点。

明日に繋がるには昨日があり、機能がある。


今ならば日本ではソフトバンクがありauがありiPhoneがある。
過去日本にはMacのまわりに東レがあった。斎藤氏がそれを知ったのは秋葉原で売られていた中古マッキントッシュの内部に貼られていた“東レ”のシールを見つけたことからだと言う。
この目のつけどころ、すごいよね。